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演算子・固有値について【量子化学】

量子化学
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演算子について

量子化学ではシュレーディンガー方程式に代表されるように、アルファベットの上に^(ハット)がついた記号がしばしば登場します。これは演算子と言い、関数に対して数式を入れたり微分を行ったりと数学的演算を行うものを言います。

Hの上に^がのっている。これを演算子という

例題 演算子\(\hat{A}=x^2+1\)とするとき、以下の式はどうなるか。ただし、\(f(x)=x+1\)とする。

\(\hat{A}f(x) \)


解き方

そのまま代入するイメージで大丈夫です。

\(\hat{A}f(x)=(x^2+1)(x+1)=x^3+x^2+x+1\)

今解いてもらった感じだと、「ただ数値を代入するだけなら、シュレーディンガー方程式の\(ψ(x)\)消せるんじゃね?」となると思います。しかし、次のような場合があるため消すことはできません。


例題 演算子\(\hat{A}=x^2+1、\hat{B}=\frac{d}{dx}\)とするとき、以下の式はそれぞれどうなるか。ただし、\(f(x)=x+1\)とする。

\(\hat{A}\hat{B}f(x) \)

\(\hat{B}\hat{A}f(x) \)


解き方

関数についている演算子が二つ以上ある場合は、関数の近くから計算することになっています。そのため、それぞれ次のようになります。

\(\hat{A}\hat{B}f(x)=\hat{A}・1=x^2+1\)

\(\hat{B}\hat{A}f(x)=\hat{B}(x^2+1)(x+1)=\frac{d}{dx}(x^3+x^2+x+1)=3x^2+2x^2+1\)

このように、演算子の順序によって同じ関数でも出る値が異なることがあり、\(ψ(x)\)は消すことはできません。

シュレーディンガー方程式の固有値について

ある関数に対して演算子を作用させた結果、(定数)×(もとの関数)といった形になった場合、

\(\hat{A}f(x)=Af(x)\)

の関係が成り立つとき、関数\(f(x)\)は演算子\(\hat{A}\)の固有関数であるといい、 定数\(A\)を演算子\(\hat{A}\)の固有値といいます。

次に、シュレーディンガー方程式について考えてみます。「シュレーディンガー方程式を解く」ということは「\(\hat{H}\)の固有値を見つける」ことであるとも言い換えることができます。例えば、下のような例を見てください。


\(\hat{H}ψ(x)=Eψ(x)\)において、ハミルトニアン\(\hat{H}=\frac{d^2}{dx^2},ψ(x)=sinαx\)とします。すると、下のような式になります。

\(\frac{d^2}{dx^2}sinαx=Esinαx\)


これを解くと、左辺は\(-α^2sinαx\)となることがわかります。よって、\(E=-a^2\)となります。このように、与えられた演算子から定数を求めることを「固有値問題を解く」といい、言い換えると定数\(E\)を求めることをシュレーディンガー方程式を解くということになります。

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