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【大学無機化学】Latimer(ラチマー)図とは【問題付き】

化学

大学の無機化学では分子の酸化還元に関して、酸化数をLatimer(ラチマー)図と呼ばれる図によって表されることがあります。これは、酸化数の大きい方から順に並べたものになり、化学系の生徒は必ず理解しておく必要があります。
この記事では、Latimer(ラチマー)図についてわかりやすく解説していくので、是非最後まで読んでみて下さい。

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Latimer図の作り方

まずはLatimer図がどのようにして作られているのか見ていきましょう。
例として銅イオンCu2+が電子一つをもらってCu+となるときの様子を見てみます。Cu2+が電子一つもらって酸化してCu+になるときは、電位が必要になります。この電位のことを標準電極電位E0といい、この場合は0.159Vとなります。この酸化反応式と標準電極電位の様子は図のようになります。
この図から、Latimer図を作製してみましょう。やり方としては、酸化数が大きい方から順に(Cu2+>Cu+)並べて下に酸化数を示し、左から右に向かって矢印でつなげます。その上に標準電極電位を書くことでLatimer図を作ることができます。

実際のLatimer図

Latimer図について、簡単に作り方がわかったところで次は複数の銅イオンがあるときの様子をみてみましょう。

Cu2+→Cu+の図は先ほど作成した通りで、Cu+→Cuの図も同様に作成できます。Cu+が電子一個をもらうことでCuとなり、標準電極電位は+0.520Vとなりるので図のように書けます。Cu2+→Cu+→Cuはつなげて書いて大丈夫です。
ここで注意してほしいのは、Cu2+→Cuにおける酸化の様子です。Cu2+が一気に電子二個を受け取ってCuとなるときの標準電極電位は+0.340Vになるので、図のように書きます。よくある間違いとして、(+0.159)+(+0.520)=+0.679から、Cu2+→Cuの標準電極電位は+0.679Vと計算してしまうことがありますが、これは間違いですので注意しましょう!標準電極電位は必ず問題文で与えられます。

Latimer図に関する例題

Latimer図をざっと学んだところで、最後に例題を解いてみましょう。


例題 図はpH=0の水溶液中におけるCrのLatimer図である。次の問いに答えよ。必要ならば(1)の式を参考にせよ。

1) 図の①にあてはまる値を求めよ。
2) 図に示した化学種の中で、pH=0の水溶液中において最も安定な化学種はどれか。
3) 図の②にあてはまる値を求めよ


解答

1) (1)の式より、標準電極電位は-0.90Vとわかります。 

2) Cr3+より酸化数の大きいものはすべて標準電極電位が正のため、電位差Eのギブスエネルギーの式ΔG=-nFEより、ギブスエネルギーが一番低いCr3+が最も安定となります。

3) ②の値を求めるにはCr3+→Cr2+の半反応式とCr2+→Crの半反応式から不均化に関する式を求める必要があります。

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